河村賢『長い沈黙』(2026年)
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商品情報:河村賢『長い沈黙:あるいは、僕はいかにして、ほかの誰かのためではなく、自分のために書くことができるようになったか』[A5判;本文136頁](企画・編集・装丁・組版および編集後記を岡澤康浩が担当、2026年9月13日、文学フリマ大阪14で販売開始) 『ゲンロンy』創刊号「ヒューモアとしての菜食主義」でデビューした批評家・河村賢が、批評と社会学の可能性が交錯した自らの「ゼロ年代」を振り返る。敗北を経てなおかたられる、希望とは何か。渾身の語りおろし!
概要
「ゼロ年代」と呼ばれる2000年代最初の10年、批評と社会学とはかつてなく接近していた。社会学なら、抽象的な理論とアクチュアルな現実とを往復することができるという期待が、いまだ存在していたからだ。講談社『ファウスト』と「はてなダイアリー」を通して批評に出会い、仲俣暁生、東浩紀、柄谷行人に導かれて批評家への道を志した河村賢もまた、社会学に批評の未来を夢みていた。 そうした社会学への期待は、ゼロ年代批評を象徴した『思想地図』(無印)が2010年に終刊することで消滅する。ゼロ年代批評は終わり、批評と社会学は、ふたたび別々の方向へと歩み始めていた。そして、かつての批評青年・河村賢は、孤高の営みとしての批評に背を向け、大学の共同性の中にこそリベラル的価値の実現を求める社会学者・河村賢へと転身する。ゼロ年代の後につづく2010年代において、アクチュアルな問題意識は、個人の倫理を問い直すことへと求められた。「声をあげるリベラル」たちが台頭し、河村賢もまたその一人になることができるはずだった。 しかし、「リベラル」によって声高に語られると理念と、そうした「リベラル」がしばしば被害者を代弁することで、その経験を搾取し、被害者から声を奪うという現実との間には、目眩がするような落差が存在していた。その耐え難い世界の中で、河村賢は非暴力の実践としての菜食主義者の生活をはじめていく。同時に、ハラスメント被害者支援の一環として、誰にも読まれることもない被害の申告書を書く作業を続ける。それは、声をあげるリベラルを批判しながら、それでもリベラルの理念を生きる、ささやかな抵抗だった。そうして、河村賢の2010年代は、沈黙の中で失われた。 その長い沈黙の後で、河村賢は自らを批評家と名乗ることを決意する。それは、かつてみたゼロ年代批評にはらまれていた暴力性と、それが宿していた倫理や正義への希求を再度みずからのものとして引き受けるために必要なことだった。ほかの誰かのためではなく、自分の欲望のために書くこと。それは、みずからの欲望がもつ暴力性を受け入れながら、それでも反暴力の希望を失わないことに似ていた。 生活から動物への暴力を徹底的に排除する菜食主義の実践を続けながら、ほとんど不可避的に失敗するみずからの努力を笑うという「ヒューモアとしての菜食主義」(『ゲンロンy創刊号』)でデビューした批評家・河村賢が、矛盾と訂正に満ちた自らの軌跡を語り、批評と倫理の現在地を語る。ゼロ年代批評のアナザーストーリー。
反響・メディア紹介
・工藤郁子さんと山本ぽてとさんによる「働き者ラジオ」(TBSラジオ「文化系トークラジオLife」番外編)で紹介されました。2026年9月24日放送の「ネガ生き&はたらく人文知」の回です。
取扱店舗
以下で取り扱い頂いています。現在の在庫状況は各書店にご確認ください。 ・右岸書房「パクチー文庫」(京都) ・こもれび書店(京都) ・FOLK old book store(大阪) ・スタンダードブックストア(オンラインおよびイベントでの販売) 店頭販売用には、「1冊!リトルプレス」の男爵商会のページからもご注文いただけます。(https://1satsu.jp/item/34627) お取り扱いをご検討いただける場合は、岡澤(yasuhiro.okazawa@gmail.com)までお問い合わせください。
目次
第一章:村上春樹論を求めて 村上春樹と出会うまで アンチ逆張りのリベラルを目指して 9・11テロとイラク戦争 本を読むことの後ろめたさ 第二章:批評と出会う 文Ⅲ的、文学部的 柄谷行人と出会い直す 『ファウスト』とはてなダイアリー アメリカ文学から社会学へ 普遍主義的暴力の系譜学 第三章:社会学的共同性の夢 批評との別れ 根源的解釈のなかの他者 分析哲学を学ぶ 北田暁大とともに 社会学的共同性の可能性 「声をあげるリベラル」の夢 第四章:敗北 耐え難いものと菜食主義 アライであることの条件 東浩紀と批評的共同性 長い沈黙のあとで 第五章:希望を語るために 批評を受け継ぐ/複数化する 希望について 河村賢のこれから
























